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Event Report:ランサーズに学ぶ!マルチチャネル時代の顧客コミュニケーション戦略

更新日 2017年11月28日

2017年9月13日、Zendeskは顧客コミュニケーション戦略セミナーを開催。Zendeskユーザーであるランサーズ株式会社から、カスタマーコミュニケーション マネージャーの冨樫謙太郎氏をゲストに迎え、マルチチャネル時代により良い顧客関係を築くためのコミュニケーションのヒントに迫りました。

■お客様との関係性を第一に考え、優れたCXの演出にZendeskを

冒頭で、Zendeskのアカウント・エグゼクティブ 森 隆志は、インターネットやスマホの普及に伴う消費者行動の劇的な変化に触れ、「企業とお客様との関係がますます複雑化するなか、お客様の期待に応えることは決して簡単ではなくなっています」と指摘。

日本国内だけを見ても、モバイルユーザーは人口を30%も上回り、複数デバイスを利用する消費者が、常にネットワークにアクセスしながら行動している様子が伺えます。しかも、ユーザー同士はソーシャルを通じてつながっており、チャットでリアルタイムにコミュニケーションしています。友人が企業や製品の好き嫌いについて発信すれば、その評価によって消費者行動は大きく左右されます。

「お客様が企業やブランドを選択する方法が従来とは変わってきているということです。こうしたお客様のニーズに適応していかない限り、企業は生き残れません。組織のニーズや都合だけではなく、お客様とのコミュニケーションを核に戦略を構築する必要があります。つまり、お客様が求めているものを実現するために、企業もまた変化を迫られているのです」と森。

<お客様が望んでいるもの>

  1. 透明性:コミュニケーションを通してリアルタイムの情報を提供
  2. 素早い対応:お客様が求めているインタラクティブなコミュニケーションを準備
  3. 自己解決:自らセルフサービスを利用することを可能に

一方で、顧客が企業とのコミュニケーションに使用するチャネルも変化しつつあります。依然として電話やメールの使用率は高いものの、今後使用したいチャネルにチャットやSNSを挙げる声は多く、加えて、さまざまなコミュニケーションチャネルが使えること、チャネル間をシームレスに移動できることなどが重要視される傾向にあります。

「お客様の望みを満たすことができれば、ビジネス成長も見込めます。Zendeskは、お客様にとっていいことは企業のビジネスにとってもいいことだと考えます」と強調する森は、さまざまな調査データを示しながら、優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)がその鍵を握ることを説明。優れたCXを体験した人はそうでない人の4.5倍も高く支払う意思があるとのデータもあるほどです。優れたCXは高評価を生み、お客様との絆を強め、顧客ロイヤリティがビジネス成長を支えることになるのです。

しかし、84%の企業がCXのリーダー企業になりたいと望んでいながら、実際にはその5分の1しか優れたCXを提供できていないというデータもあります。その理由は大きく分けて、部門・部署の分断、システムの分断、チャネルの分断の3つ。「これらを解決し、優れたCXを演出するためにZendeskがあります。お客様との関係性を第一に考え、より優れたカスタマーサービスを実現するためのソフトウェア、それがZendeskです」と語る森は、最後に製品の特徴を次のようにまとめました。

  • 設定は簡単で使い方はきわめてシンプル
  • マルチチャネル対応により、多様なチャネルからの問い合わせを一元管理できる
  • Zendesk内に限らず問題解決に必要なあらゆるツールや情報と連携する
  • 顧客満足度調査を通じて業務分析が行える
  • 正確なデータとレポートを通じて業務改善や効率化が推進される

■ランサーズがほれ込んだZendeskはホンモノだった

続いて、ランサーズ株式会社 カスタマーコミュニケーション マネージャーの冨樫謙太郎氏が登壇。オンライン上でフリーランスに直接仕事を発注できる日本最大級のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」を手がける同社は、東日本大震災を機に注目を浴び、働き方改革を追い風にさらなる伸びを見せています。

ランサーズのサポートチームは、仕事を発注する法人と、依頼された仕事を納品するランサーと呼ばれる個人(フリーランス)の両方をサポート対象としています(図1)。

図1 ランサーズのサポート対象は法人と個人

図1 ランサーズのサポート対象は法人と個人

同社がZendeskを導入したのは2014年。冨樫氏は、他のツールで運用していたころの課題をこう振り返ります。
「2014年当時、顧客対応ツールはメールソフトでした。運用が煩雑で手間がかかり、対応状況を正確に把握することができず苦労しました。また、ランサーズはプロダクトフィードバックを重要視しているため、ユーザーの皆さんの問い合わせ傾向を把握し改善提案をしていく必要がありましたが、お問い合わせ傾向はエクセルに手入力するなどの運用しかできず、容易に問い合わせ傾向を把握することができませんでした。さらに電話窓口やチャット窓口開設の必要性も感じていたため、効率的に運用できるCRMソフトの導入が必要と感じていました。」

<導入前の課題>

  • メールの対応状況把握が困難
  • 問い合わせ傾向の把握に時間がかかる
  • オペレーターの人員増に伴い生産性低下
  • マルチチャネル(チャット、電話など)対応基盤の構築

上記課題を解決してくれるツールの第一候補がZendeskで、理由をこのように教えてくれました。「ステータスで対応状況が即時把握できること、問い合わせ傾向の取得が簡単だったこと、テンプレート管理と活用が簡単なこと、マルチチャネルに対応していること、以上4点に対応していることがツール導入の必須要件です。ツールは幾つか候補がありましたが、全て満たしているのがZendeskでした。また、実際に導入してみると想像以上に活用できることがわかりました。」

<Zendeskの優位点>

  • 問い合わせの対応管理に優れている
  • テンプレートの使い勝手がよい
  • 問い合わせ傾向が把握しやすい
  • マルチチャネル対応を実現している
  • 電話の機能性(例:電話対応後、自動で録音されている機能)
  • 顧客対応のデータ把握が詳細に取得可能に
  • サポートチームでガイドを作成したり更新可能で汎用性・拡張性が高い
  • リーズナブル

冨樫氏はZendeskを導入してから、様々な効果があり、生産性が改善したことを具体的な数字ともに紹介。「Zendeskを導入したところ、生産性が大幅に改善しました。具体的にはお問い合わせ1件あたりの処理が16分でしたが、Zendeskを導入後にテンプレートを準備して運用を開始したところ10分で処理が可能になりました。月間で数千件の問い合わせを処理しているランサーズにとって、6分×数千件は数百時間分のコスト削減です。」
冨樫氏はその後もZendeskを活用した様々な試作とその効果を紹介。例えばチャット窓口です。同社は2015年~2016年に電話窓口をクローズし、チャット対応を強化しています。電話サポートをやめたのはなぜなのか。「電話窓口とチャット窓口ではKPIを『問い合わせ後のCVR』としています。電話窓口とチャット窓口で得られる効果は全く差異がありませんでした。ただ、チャット窓口の方がスタッフのみなさんが活き活きとしていました。電話の時はクレームが多いと感じていたようですが、チャットはあまりそれを感じないそうです。ライブ感もあり、非常に楽しいと教えてくれました。エージェントが気持ちよく働けるのであれば、電話はいっそのことやめようという結論になりました。」と、理由を説明してくれました。

■CX向上に貢献するサポートの価値を確認

冨樫氏は、導入後に運用を通じて実感したZendeskの実力を次のように評価しました。

1) 対応状況の可視化

一刻も早い対応を要するもの、社内外にエスカレーションが必要なものなど、対応状況がひと目でわかるようになります。これにより運用の効率化を実現。


 

2) タグの活用で顧客のセグメント化を実現、重要顧客への対応が的確かつスピーディーに

Zendeskは各チケットに対して自由にタグ付けすることができます。活用方法は各社それぞれですが、ランサーズでは問い合わせしてきた顧客をセグメントすることに使用しているようです。セグメントに応じた顧客対応を実施することで、重要顧客への対応時間が大幅に短縮し、顧客満足度向上を実現できたそうです。

(例:一定の業種のクライアントには、「優先クライアント」というタグ付けを実施し、当該お客様は対応の順番が最も最上位になるように設定を行い、優先して対応する。)


 


 

3) テンプレートが使いやすい

マクロを利用したテンプレートを作成することで、お客様の質問に対して素早く対応することができます。テンプレートを選択すると、回答文が入力されているだけでなく、タグの設定やお問い合わせのカテゴリが自動で選択されているなどの機能もあります。生産性が向上した一番の要因だと冨樫氏は述べており、他社ではAPIを使用して自由にカスタマイズしている会社もあると教えてくれました。

4)HTMLメール化することができる

回答メールを簡単にHTMLメール化することができます。HTML化はZendeskの管理画面から自由に設定することが可能。


 

5) CX向上に役立てられる

満足度調査の機能により、解決したチケットに対してお客様が満足度を評価し、サポートチームに対応についてのフィードバックを返すことができます。

さらに冨樫氏は、CXの向上に関連して、「Zendeskを導入して最もよかった点」にインサイト機能を挙げ、「欲しいデータをタグごとにわかりやすく表示できます。自由自在にデータが取得でき、パフォーマンス指標が取得しやすい。」と語ります。

たとえば、同社では、問い合わせ内容をカスタマージャーニーに沿って「登録、ID/PW、会員情報」「お仕事の依頼とお金の支払い」「取引進行」の3つの大カテゴリに分類。さらに中カテゴリ小カテゴリと数百種類のカテゴリを用意し、全てのカテゴリの問い合わせ件数を可視化することで、どこでお客様がつまずいているのかを明らかにしていると言います。ここに顧客満足度調査の結果を組み合わせると、さらに問題点が見えてくるというわけです。

また、単に改善のための材料としてではなく、分析結果がサポート部門に対する社内の見方を変えるきっかけにもなっています。「『サポート対応した顧客』と『していない顧客』とでは、その後のコンバージョン率などを比較すると、『サポート対応した顧客』のほうが、アクティビティが明らかに高いことがわかりました。これこそがサポートの価値だということを説明することができるようなりました」と冨樫氏。言い換えれば、どの部分に人を当ててより手厚くサポートするべきかの判断材料にもなります。

サポートチームが会社に対して新しいアイデアを提案できるのも、さまざまなインサイトを得られるZendeskがあるからこそ。ランサーズにとってZendeskは、マルチチャネル時代における顧客コミュニケーションに欠かせないツールであるだけでなく、CX向上に貢献するサポートの価値を確認し、必要なものを見極め、さらなるサポート品質を追求し続けるための重要な原動力となっているようです。

ランサーズがどのようにZendeskを活用し、積極的にカスタマーコミュニケーションを行っているかは、こちらからご覧いただけます。

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